電力会社の乗り換えガイド|料金比較と選び方のポイント
この記事でわかること
- ・電力自由化の仕組みと乗り換えの基礎知識
- ・電力会社を5分で切り替える手順
- ・料金比較で見るべき3つのポイント
- ・太陽光・蓄電池ユーザーに有利なプラン
- ・乗り換え時の注意点(解約金・セット割)
電力自由化によって電力会社を自由に選べるようになり、料金プランの選択肢は格段に広がりました。しかし選択肢が多すぎて比較が難しいという声も多く聞かれます。このガイドでは電力会社の乗り換え手順、料金比較のポイント、太陽光ユーザー向けの最適プランの選び方を整理します。
電力自由化とは
2016年4月から家庭向けの電力小売が全面自由化されました。それまでは地域ごとに決められた電力会社(旧一般電気事業者10社)からしか電気を購入できませんでしたが、自由化以降は全国700社以上の登録小売電気事業者から選択できるようになっています。
電力自由化によって消費者が得られるメリットは大きく3つあります。料金の引き下げ(電力会社間の競争による価格低下)、多様なプランの登場(再エネ100%プラン・時間帯別料金・基本料金0円プランなど)、セット割引(ガス・通信・ガソリンとの組み合わせ割引)です。
一方で電力自由化には留意すべき点もあります。2022年以降、燃料価格の高騰を受けて事業撤退や大幅な値上げを行う新電力が相次ぎました。料金の安さだけでなく経営基盤の安定性も重要な判断基準です。なお、電力会社が撤退しても電気が止まることはなく、地域の旧一般電気事業者が最終保障供給を行う制度が整備されています。
乗り換えの手順(5分で完了)
Web申込みだけで切り替え完了、工事不要
電力会社の乗り換えは、新しい電力会社のWebサイトから申し込むだけで完了します。現在の電力会社への解約連絡は新しい電力会社が代行してくれるため、消費者側で行う手続きはありません。
申込みに必要な情報は、検針票(電気ご使用量のお知らせ)に記載されている供給地点特定番号とお客さま番号の2つです。手元に検針票がない場合は、現在の電力会社のマイページやカスタマーセンターで確認できます。スマートメーターが未設置の場合は無料で交換工事が行われますが、立ち会いは原則不要です。
申込みから切り替え完了までの期間は通常2〜3週間です。次回の検針日に切り替わることが一般的です。切り替え期間中に電気が止まることは一切ありません。また、電線や電力メーターは引き続き同じものを使用するため、電気の品質(電圧・周波数)は変わりません。
手順をまとめると次の通りです。検針票を用意する、新しい電力会社のWebサイトで申込む(5分程度)、スマートメーターの交換(未設置の場合のみ・立ち会い不要)、次回検針日に自動で切り替え完了。解約手続きは新しい電力会社が代行するため、消費者が行う作業は申込みのみです。
料金比較のポイント
基本料金・従量料金・燃料費調整額の3つ
電気料金は主に「基本料金」「従量料金(電力量料金)」「燃料費調整額」「再エネ賦課金」の4つの要素で構成されます。このうち再エネ賦課金は全電力会社で同額のため、比較すべきは前の3要素です。
基本料金は契約アンペア数に応じて毎月固定で発生する料金です。一般的な40A契約で月1,000〜1,200円程度です。Looopでんきなど基本料金0円のプランでは、使った分だけの従量課金になります。電気使用量が少ない世帯(一人暮らしなど)では基本料金0円プランが有利です。
従量料金は使用した電力量に応じて課金される料金です。旧一般電気事業者は3段階の単価(使うほど高くなる)を設定していますが、新電力では一律単価や2段階制など様々な料金体系があります。月の使用量が300kWhを超える世帯では、3段階目の単価が安い新電力に切り替えるだけで月500〜1,500円の削減が見込めます。
燃料費調整額は燃料(LNG・石炭・原油)の市場価格に連動して毎月変動する調整金です。2022〜2023年にはこの調整額が大幅に上昇し、安いと思って切り替えた新電力の料金が旧一般電気事業者を上回る逆転現象が発生しました。市場連動型プランは燃料価格が安い時期にはメリットがある一方、高騰時にはリスクがある点を理解したうえで選択してください。
太陽光ユーザー向けプラン
太陽光発電を設置している世帯は、電力の「買い方」と「売り方」の両面からプランを選ぶ必要があります。買い方については、昼間は太陽光の自家消費で電力購入量が少ないため、基本料金0円で従量課金のプランが有利です。
売り方(卒FIT後の売電先)については、旧一般電気事業者の買取価格(7〜9円/kWh)に対し、新電力のプレミアム買取(10〜12円/kWh)が上回るケースが多くあります。年間の売電量が3,000kWhの世帯であれば、1kWhあたり3円の差で年間9,000円の収入増になります。
蓄電池を導入している世帯は、時間帯別料金プランとの組み合わせが有効です。深夜の安い電気を蓄電池に貯めて昼間に使う運用で、電気代を月2,000〜5,000円削減できるケースがあります。HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で充放電を自動制御すれば手間もかかりません。
太陽光と蓄電池の両方を持つ世帯に最適なのは、基本料金0円かつ時間帯別の従量単価を設定しているプランです。Looopでんきのスマートタイムプランや、シン・エナジーの生活フィットプランなどが該当します。ただしプランの詳細は頻繁に改定されるため、申込み前に最新の料金表を必ず確認してください。
注意点(解約金、セット割)
電力会社の乗り換えにあたって注意すべき点は主に3つあります。第一に解約金(違約金)です。多くの新電力は解約金を設定していませんが、一部のプランでは契約期間中の解約に2,000〜5,000円程度の違約金が発生します。申込み前に契約条件を確認してください。
第二にセット割の解消です。ガスや通信とのセット割引を受けている場合、電力会社を変更するとセット割が適用されなくなります。電気代の削減額がセット割引の消失分を上回るかどうかを事前に計算してください。例えばガスセット割で月300円の割引を受けている場合、電気代が月300円以上安くならなければ切り替えるメリットがありません。
第三にポイントやキャンペーンの条件です。「初年度のみ大幅割引」というキャンペーンに釣られて契約したものの、2年目以降は割高になるケースがあります。料金比較は2年目以降の通常料金で行い、キャンペーン割引は「あれば嬉しい」程度に位置づけるのが賢明です。
オール電化住宅に住んでいる場合は特に注意が必要です。旧一般電気事業者のオール電化向けプラン(深夜割引が大きい)は新規受付を終了しているものもあり、一度解約すると元のプランに戻れない可能性があります。オール電化世帯は切り替え前に現在のプランの条件を十分に確認してください。
よくある質問
Q電力会社を切り替えると電気の品質は変わりますか?
変わりません。電気は同じ送配電網を通じて届くため、電力会社を変更しても電圧・周波数・供給の安定性に違いはありません。
Q賃貸マンションでも電力会社を変更できますか?
個別に電力会社と契約している場合は変更できます。ただし、マンション一括受電を導入している物件では個別に電力会社を選べない場合があります。管理会社に確認してください。
Q新電力が倒産したら電気は止まりますか?
止まりません。新電力が事業撤退した場合は地域の旧一般電気事業者の最終保障供給に自動的に移行するため、電気の供給は継続されます。ただし最終保障供給の料金は割高なため、速やかに別の電力会社と契約することを推奨します。
Q切り替えに費用はかかりますか?
原則として費用はかかりません。申込み手数料・工事費用(スマートメーター交換含む)は無料です。ただし、現在の契約に解約金が設定されている場合はその費用が発生します。